そして満ちる







 封じ込めた想いがいくつもある。
 ひなたのにおいのするリビング。
 さめかけたコーヒーと、幸せそうに眠る君。
 鼻を鳴らして寝返りを打ち、うっすらと開けた瞳に私を映して、ほほえんだ。
 重い唇を開いて、愛の言葉を囁けば…腕がのびて、私を抱き寄せる。
 愛してる…そう、何度も囁いて…。
 …光る海。
 秘密の詰まった資料室。
 艶やかなテーブルに、指で刻んだ「No Fate」。運命なんかじゃない…
 君を抱きしめ、消えない虹を信じて眠り、猫の爪のような月に祈る。
 ずっとこの時間が続きますように…
 思い出しては、胸を切る痛みに唇を噛んで耐える。涙をこぼさぬように、繰り言を言わぬように。こんな思いはいっときだ。そう言い聞かせて。
 …そう、いっときだ。
 いつか約束を果たして…私がきみの、そばにいくまで…。







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