10
逆上せたみたいに青島が首を振る。
室井は柔らかい唇で胸元や首筋の薄い肌や、太腿の内側に紅い花弁を咲かせながら、達ったばかりのそこにもう一度指を埋めた。
「青島・・・」
「・・・っく、・・・・ぁ・・・んっ・・・・・あっ」
それは、明確な嬌声ではないものの、確かに蕩悦を得ている声で、ぎこちなさも払拭されるほどに室井の指が勢い付く。
瑞々しい真珠のような肌が、宵闇に溶け、腕に引っ掛かったままのシャツから覗く素肌が、汗ばむ艶に滑った。
達ったばかりのそこは蕩けるように熱く、うねるように室井の指を数本呑み込んでいく。
逃れられない内部を弄られるのは拷問に近いのか、青島の下肢は
両脚を卑猥に室井に向けて押し広げたまま
力が抜けたように思うような抵抗が出来ないでいた。
時折、痙攣したように動く膝頭が、淫乱に感度の良さを伝えてくる。
室井は指先で柔肉の感触を愉しみながら、覆い被さるようにして、青島の耳朶に歯を立て食した。
堅く眼を閉じ、掻き回す自らの指の動きに、悶えるように敏感に弧を掻いて反る背中。
どうしても堪え切れずに漏れる、散れ散れの押し殺された咽び。
長い手足が妖しく室井の下で淫蕩を伝え
緩く、深く奪われながら、荒い息で、責め苦に堪えている青島の嬌態に、これ以上ない程、強く煽られる。
こんなに自分を取り込むものなのか。
想像もしていなかった。
くるりと指を回す。
気が狂ってしまいそうな愉悦から逃れるかのように、青島が無意識で顎を逸らし、首を横に振る。
髪が乱れる、そのこめかみに唇を寄せながら、室井はとろとろに蕩けた場所に三本目の指を差し込んで、首筋に歯を立てた。
「・・・くぅ・・・・ぁ・・・ッ」
底の底まで奪いたい。
「む、ろい、さ・・・っ、も・・・っ、」
「・・・いい貌だ」
「やぁっ、だ、見ん・・・なよ・・・っ」
頭を反らせ、広げた手でタオルケットを縋るように掴んだ。
仰け反ったことで、差し出された胸に、室井が吸い付き、甘く刺激を与える。
同じタイミングで差し込んだ中指の先端が、一番弱い箇所を引っかいた。
声も出せずに、青島が眼をキツく閉じ、嗚咽のような息が断続的に漏れる。
「・・・っ、は、っ・・・」
仰け反った喉から肺にあった空気だけが漏れていく。
眦に溜まっていた涙が伝った。
手に入れられない、でも、今だけは、俺の元に在る。
元来、自分が唯一、裡まで砕かれた相手であり、そして、精神まで刻みこまれた忘れられない相手だ。
苛烈な独占欲が湧き上がる。
愛しさよりも、今は彼を自分のものだと確かめたくてたまらない。
何もかもが夢のようで、自制など、白靄の向こうに消えていく。
「善いのか?」
「・・・ひ・・・っ」
耳元に息を吹きかけるように問い掛ければ、それだけで青島の身体が震える。
うねるように絡み付く柔肉を解すようにくるりと指で回しながら、胸の突起を舌で回すように弄ぶと、誘うように青島が腰を捩った。
仄かに赤らみ、悶える長い手足が美しく、妖艶だ。
青島の様子を見ながら指の動かし方を変え、三本に増やした指でぐちゃぐちゃと掻き混ぜた。
艶めく肌がうっすらと朱に染まり、決壊したかのようにポロポロと涙が落ち始める。
「こん・・・なの・・・・」
「善いんだろ?」
「も・・・っ、無理・・・っ、何で俺、ばっか・・・っ」
「もっと善くしてやる」
「・・・っ、ぁあ・・・・・くっ・・・っ、・・・ッ・・・」
青島の上げる少し高めの抑えた声が、艶を帯びていく。その声に、室井の背筋がゾクリゾクリと這い上った。
腰を押さえ込み、同じ場所で指を何度も折り曲げる。
口唇から何度も肺から漏れる息が零れ、その眉を辛そうに寄せた頬が赤らむのを見ながら、追い詰めるような愛撫を繰り返す。
首筋を這っていた舌は胸元に移動し、肌を熱い舌で悪戯に辿り回る。
腰を揺すり、室井から逃れようとする脚を肩に持ち上げ、腰をがっしりと掴むと逃げられないようにして、瑞々しい肌に歯を立てる。
さっきと同じように、同時に指で浅
く深く、何度も抜き差しを繰り返し、奥深くでグイッと折り曲げた。
「ッ・・・!そんな・・・ァ・・・・ッ、・・・・・・・そんなところ舐め・・っ、・・・やぁっ!」
あまりに過ぎた刺激だったのか、断続的に胸を上下し、青島が目元を覆い隠すように腕を交差した。
咽ぶような嗚咽を漏らす。
その片手を無理に剥がし、蕩けて濡れている恥部を、大きく掻き回した。
「む、ろ・・・っ、さ・・・・ッ」
「隠すな・・・」
胸が軋む程甘く締めつけられ、熟れた頭の片隅で、まだ足りず、全てを自分のものにしたいという渇望が悠然と湧きあがる。
もっと解けて、もっと崩れてしまえばいい。
何だか色々、どうにもならない。
覆い被さるようにして、手を外し、喘ぐ口唇を凶暴なまでの激しさで塞ぐ。
スッと満たされる思いが、滑稽な程に身体中を駆け抜けていく。
舌で歯列を割り、熱い口内へ侵入する。
必死に濡れた舌を、たどたどしいままに絡み合わせてくる。
もう抵抗も忘れた内部は滑り、うねるように絡みつく柔肉が、室井の性感をダイレクトに刺激した。
柔らかく歯を立てながら、室井に導かれていく躯を更なる刺激で追い込むため
埋め込んだ指を、淫猥に回し、強弱を付けた動きで往復する。
手がタオルケットを乱し、脚が空を踠く。
「っ、ぅ・・・や・・・・・・、ぅんっ・・・」
この腕が、この舌が、今は自分だけを求めて、受け容れてくれていることが、この上なく乾いた深部を満たしていった。
もっと、何もかも崩れるほどの、愉悦が欲しい。
己の傲慢も醜さも、消し去ってしまう程の、溺れて流されていく悦楽に、僅かに残る理性さえ掻き流し
この夜の闇に溶けて散り落ちていきたい。
記憶すら上書きするほどの、眼もくらむ程の酩酊感への期待に、肌が栗立った。
室井が徐に身体を起こし、青島にまたがったまま、勢いよくモノトーンの薄手ニットをガバッと脱ぎ捨てる。
更にボタンダウンのシャツを荒々しく脱ぎ去ると、筋肉に節ばった腕で青島を囲い
素肌で抱き合う。
密着する肌の熱さに、息も止まる程の眩暈が襲った。
口付けながら自分のベルトを外し、チャックを下ろすと、後は足で乱暴に下着ごとスラックスを脱ぎ捨てる。
青島の両膝の裏を押すように左右に広げ、胸に付く程に恥部を晒す。
そこに昂ぶりを押し当て、青島の濡れた瞳を覗きこんだ。
「奪うぞ。いいな」
「負けるが・・・・勝ち、ってヤツですよ・・・」
「やるからには手加減はしない」
「当然・・・っ、男なら、中途半端な真似、すん、な・・・っ」
益体も無い憎まれ口に、あえかな金色を射す瞳が揺れる。
これから始まる未知の恐怖に震えている癖に、強気の眼差しで室井を威嚇する青島の虚勢が、この上なく幼く、そして愛しく思える。
少しだけ微笑のようなものを返し、室井が膝裏を押し倒す腕に力を込めた。
打ちすえられた身体を引き寄せ、ゆっくりと挿入していく。
「・・・ッ・・・・・・ぁあ・・・く・・ぅ・・・っ」
青島の身体が仰け反り、腹筋と肋骨が美しく浮かぶ。
ゆっくりと腰を大きく回し、卑猥な粘着性の水音を立てながら、奥深くまで侵略していく。
「ゃ・・あ・・・・・・っ」
反り返った身体を背中で支え、室井は手を滑らせた。
汗ばむ肌は滑るようにたおやかで、室井とは異なる筋肉の少ない身体は柔らかささえ残す。
腰まで滑らせた手で、クイっと持ち上げると
そのまま後頭部を押さえ込み、小刻みな動きを繰り返して更なる深みを目指す。
キツく締めつけてくる内壁は、息吹のようにうねり、灼けるように熱かった。
こんな、痛みだけを憶える繋がりに、一体何の意味があるのだろう。
護るべき被害者にも疎まれ
犯人ではない人物を糾弾し
上司から疎まれ
面白くもない過去を掘り起こされた。
なんて無様なのか。愛した人さえ辱めて。
そして今、また何より大切な人間を、こうして辱めている。
記憶の何もかもが、胸の奥に突き刺さる。
だが、何もかもが融合していくその幻想のような瞬間に、確かに満たされたものが生じていく。
室井の進む世界はいつも風当たりが強い。
青島が見せてくれる、こんなにも世界には優しさも溢れているのなら、何故それが自分の目指す世界には存在しないのか。
生き辛く、打ちのめされるばかりの現実は、堪えることばかりを室井に強いる。
今になって対象的に齎されるこの温もりは、皮肉にも嫌味にも、感じられた。
それでも、捨てきれなかったのは。
一度引き受けた誰かの人生を、自分の都合で放りだすことは、もうしたくなかった。
懐かしいあの時代が、約束を反故にしても目の前の事件に喰らい付かせるだけの、毅然とした警察官に自分を育て上げていた。
以前の俺なら、きっと、運命に従っていた。辞表までの覚悟をした暁に、真実を追うなどしなかった。
真実を掴み取るまでは。そんな風に思わせたのも――。
その存在が、一人で抱え込むなという。
一緒に苦しんでくれると言う。
この世に、己を満たすものなど、何もない。・・・・筈だった。
青島だけは、いつだって室井を極上の官能へと導いてくれる。
仕事でも、理想でも、人生でも。
そして今――
「・・・ァ・・ッ・・・・」
室井が卑猥に腰をグラインドさせながら、貫いた躯を貪っていく。 獣の本能にのみ支配された、快楽だけを得る雄の律動だ。
あられもない肢体を組み伏せ、滾る肉棒を突き入れる度、本能的なカタルシスが身を染める。
青島の秘部は腫れあがり、室井を淫猥に絞り取る様に纏わりつく。 凄まじい享楽に溺れそうになる意識を押さえ込みながら、室井の息も上がっていった。
「は・・・っ、っく、ふぅ・・・っ」
噛み殺し切れない嗚咽が、青島の口から途切れ途切れに漏れる。
膝の裏から脚を高く抱えあげ、体重をかけて深く突き刺していく。
顎を軽く逸らし、歯を食いしばる青島の目から、堪え切れずに雫が幾筋も流れ落ちていくのが見えた。
それを舌で拭いとりながら、腰を振る。
乱れたシャツのまま、背中のタオルケットを、両手で必死に掴み、全身の筋肉を緊張させた細身の身体は
闇に薄蒼く縁取られ、持ち上げた太股や胸筋が細かく震え
上気する造形が、言葉にも表わせない程、妖艶で耽美なものに変化していく。
もっと手に入れたいと、切に欲する。
訳も分からなくなる程の強烈な悦楽に堕とし、乱れさせたい。
でももうむしろ自分の方に、その余裕がない。
「・・・・・ァ・・・ッ、く・・・っ、むろ・・・さ・・・っ」
「あ、おし・・・ま・・・・」
「す・・・き・・・・っ」
突然、うわ言のように発せられた言葉に、室井の眼が驚愕に見開かれ、凝視する。
この崩れ落ちるほどの愉悦の中でも、その飴色の瞳はしっかりと室井を映している。
「好き・・っ、です・・・」
何を言っているのか分からないまま、腕を掴んでくる青島の仕草に胸が締め付けられ、室井は腰を強く差し込んだ。
限界まで脚を大きく開かされ、あまりの痛みに声もあげることも出来ずにいる青島の、室井に密着する恥肉が、脈動するように絡まる。
「ホントは俺・・・ッ・・・・・あんたが・・・っ」
室井の喉が低く唸る。
荒い息の元、カッとした燃え滾るものが総身を走り抜け、堪え切れないように、青島が告げた想いに身体を掻き抱き、突き上げ始める。
「・・・・ッ!・・くッ・・・・ぁ、・・あァ・・・ッ」
途端に押し殺した声にならない悲鳴が上がる。
「ヒ・・ィ!く、ぁ、ぁあ、んぁあ・・・っ」 「他の女の変わりでもか・・・ッ」
思う様にすら動けず、ただ揺さぶられていくリズムに声を殺し、啜り泣く青島を、責め立てる。
征服欲が掻き立てられ、誰にも染まらないその躯を穢すように、壊すように押し入っていく。
応える代わりに、青島が室井の腕を握り締める、必死な指先に力が込められる。
勢いにズレる身体を腰から引き戻し、弾みで強く穿たれた刺激に、思わず呻き声を漏らした喉元に、文字通りに噛み付いた。
「・・ィ・・・ッ」
「なら、もっと脚を開け」
律動を刻みながら命令すると、青島が涙目で室井を見上げ、少しの躊躇いを見せた後、刺激に震えていた脚をおずおずと広げ、秘部を晒す。
室井は荒い息継ぎで腰を入れながら丹念に快楽に染まりつつある躯を舐めるように眺めた。
濡れそぼり孤立した昂ぶりが、触れてもいないのに、腫れあがっている。
口に手の甲を当てて、真っ赤な顔をしていやいやと首を振る様が、目に焼き付いた。
痴態と純潔が混じり合う無垢な身体は、今、室井だけのために開かれていた。
「いい・・・格好だ。普段のお前からは考えられないな」
「・・・っ、・・・ァ・・・・ッ」
「その格好で、もう一度俺が好きだと言ってみろ・・・ッ」
「むろ・・・さ・・・っ」
「男を咥えて、おまえ、もう元には戻れないぞ」
「いい・・・っ、戻れなくて、いい・・・ッ。あんたに、付いていくって・・・・決めた・・・っ」
潤む瞳と、腕に食い込むばかりに掴む指先の熱さに、室井の胸が詰まる。
「とんだ買い被りだな・・・ッ」
「ずっと・・・っ、言いたかったんだ・・・」
「こんなことされているのにかっ」
「何度だって、言うよ、あんたが好きだ・・・っ、・・・ァ・・・ッ、あんたが・・・すき・・・・っ」
「青島・・・っ」
「好きだった・・・っ」
悲鳴染みた声で叫ぶ青島の脚を肩まで掲げ、自分が何をされているのか分からせるために限界まで開けさせる。
震える内股を押さえ付け、たまらず腰を大きく揺すり始めた。
僅かに反応を見せる場所を、ワザと何度も擦り上げる。
すると、しっかりと押さえつけられたまま幾度も敏感な反応を引き出す箇所を突き上げられた青島は、ついに堪え切れずに
これまで必死に羞恥に堪えていた堤防を決壊させ、悲鳴のような啜り泣きを漏らし始めた。
「いやあ・・・・っ、ぅあ・・・ぁ・・っ、室・・・っ、んぁあっ・・・」
「あ・・・っ、おし、ま・・・っ」
反動で逃げ出そうとする身体を引き戻し、その腰を押さえ付け、穿ち続ける。
「好きだよ・・・っ」 「なんでこんな時に言うんだ・・・っ」
「こんな時、だから・・・っ、だろッ」
揺さぶられながらも、それでも真っ直ぐに室井を見上げてくる。
室井を見てくる。
「この場、に、一番相応しい台詞だよ・・・っ」
室井は喉奥で呻き、組み敷いた熱い身体を胸に抱き、回すように激しく腰を振る。
声にもならない嬌声が、室井の耳元で弾けていく。
「今夜が最後なのにか・・・ッ」
「待・・・ってても・・・・い・・・?」
最早もう何も言えず、室井は喉の奥で呻いたまま、抱き締める腕に力を込めた。
腰の奥が熱く、砕けそうだ。
視界が熱く滲みそうになるのを、必死に堪える。
苛立ちを抑えきれないままに、腰を突き上げた。
「あぁ・・っ・・・、く・・・っ、んぁあ・・・・・っ」
答えを言わせたくなくて、乱暴に掻き回し、腕を両手で押さえ込んで、大きくグラインドした。
咽び泣く悲鳴のような声が、最早音にもならず、肺から息が押し出されていく。
喉元を晒し出し、綺麗に仰け反る背中。絡み合った脚が汗で滑り、青島の指が白く喰い込む程に室井の腕を掴む。
啜り泣く声と共に、堪え切れぬように零れた涙が、室井の胸を締めつける。
されるがままに、室井を受け容れ、両脚を大きく広げ、室井の与える刺激に震える青島を
めちゃめちゃに壊してやりたい衝動が疾駆する。
こんな深い場所まで奪われて、責められない。
こんな深い場所まで触れることを、赦されている。
その意味では正に、何もかもが青島の思惑通りだった。
手の平で転がされているような屈辱と悔恨、どれもが馴染みのような気もする。
何よりそうされることで、室井の身体が極上の悦楽を帯びていく。
だったらいっそ、この先例え何があっても、どんなに長い時間離れていても、鮮やかに俺のすべてを思い出せるくらいに、刻み付けられたらいいのに。
「ゃ・・・っ、ぁあ・・・っ、んぁ・・・っ!くぅ・・っ!」
「く・・・ッ」
「室井、さ・・・・っ、室・・・っさ・・・俺・・・っ」
思うよりずっとしなやかに開き、熱く応えてくる身体に、
今まで知ったどの女性の媚態より煽られ、こちらが追い詰められた。
こんな風にしてしまったのは、自分なのか、青島なのか。
唯一人に、こんなにも捕らわれてしまった、これは代償だ。
「集中ッ、しろ・・・ッ」 「あんたが・・・、一番ッ、俺・・だけは、最後まで味方だって、分かってないから・・・っ」 「・・・っ」 「そんな独りみたいな貌・・・ッ、ぁあ・・・っ、っく、・・・ふ・・・っ、・・・っ、・・すき・・っ」
声にならないまま擦り切れるような息遣い。それでも時折殺し切れずに漏れる、甘い喘ぎ。
震える睫毛に募った幾筋もの涙。
何もかもが、苛烈な苛立ちの向こうに、悪魔的な深く激しい官能を、凶暴な勢いで身を切り拓く。
腰を押し込む度、崩れるような喜悦が、下肢に走った。
精神ごと、持って行かれそうだ。
「室っ、さ・・・・、俺、呼んで・・・・っ、くれたら・・・ッ、俺ッ」
「くそ・・・ッ」
熱い吐息と、噛み殺した喘ぎ声の合間から、途切れ途切れに甘い言葉を漏らす青島の口を片手で塞ぐ。
「黙ってろ・・・ッ」
そのまま、穿つ動きを強め、乱暴に内壁を掻き乱す。
腰を大きくグラインドさせると、青島の躯が不自然に強張り、眼からまた涙が零れ落ちた。
乱れたままの着衣。片脚に引っ掛かっているだけのスラックス。
薄暗い床の上で、押さえ付けた身体に圧し掛かり、顔を歪めて苦しそうに喘ぐ口を手で塞ぎ、繰り返し突き上げる。
閉じられた瞼に涙が浮かぶ。
――まるで強姦しているみたいだ・・・
室井は口唇を片手でしっかりと押さえ付けて塞ぐと、荒い息を吐きながら、熱く腫れあがる内壁を何度も擦り上げた。
「・・・っ、う・・ふっ、・・・んん・・・っ、くぅ・・・っ」
青島の甘い匂いが、咽返るように室井に纏わりつく。
室井から吹き出る汗が、青島へと零れ落ち、二人の汗が混ざっていく。
タオルケットの上で跳ね、啜り泣く箇所を、腰骨を片手で押さえ、執拗に擦る。
突く度に、閉じられた眦から、雫が一滴ずつ溢れていくのを、荒い息の中で眺めた。
昂ぶりを咥えこませた秘部が熱くうねり、濡れた音をひっきりなしに立て、粘性のものが、零れ出てくる。
「すごい、な・・・」
締めつけ、吸い取るかのような内壁の動きに、室井は堪らず吐息を漏らした。
下半身は殆ど宙に浮いている状態まで掲げ、その腰を力強く支え、深く刺し入れる。
まだ足りない。もっと、欲しい。 なんて苛烈な快楽なのか。 濡れそぼる青島の昂ぶりに指を絡め、先に達かないように根元を握り込んだ。
「ぅぅん・・・・く・・・ッ・・・うぅ・・・ッ」
そんな状態で、激しく熟れ切った裡を掻き乱されながら快楽に溺れていく青島が、悔しさの滲んだ声を思わず漏らした時
キツく閉じられていたその飴色の瞳が、一瞬だけ室井を見た。
交差した視線に、ゾクリとした痺れが、室井の背筋を走り抜ける。
何度、こうやって、彼の眼差しに煽られ、導かれてきただろう。
獣染みた飢えに支配された律動で、室井は荒々しく蹂躙しはじめた。 手の平で押し付けた青島の口唇から呑み込みきれない唾液が熱く滑り、青島が苦悶に歪む。
「・・・んぅ・・・っ、ん
く・・・っ・・、っく、・・うぅん・・・・っ」
「く・・・・ハ・・・ッ、・・・・ァ・・・ァッ・・・」
汗が飛び散り、室井の垂れ落ちた前髪から、雫が青島の頬へと落ちていく。 汗で濡れ、額に張り付く前髪。 切なげに、淫猥に紅潮した貌を歪め、その下で、室井に口を塞がれながら、きつく閉じた眦が濡れ、雫が溢れている。 苦しげに仰け反り、押し殺した喉が脈動する。
切ない情を見せる青島に、悔しさと愛おしさが混じった、言葉に出来ない混沌とした感情が込み上げ
もう、室井はいっそ潔く我を忘れた。
「ふぅ!ん、っく、ぅん・・・っ、ぅん・・っ、くぅ!」 「く・・・、ァ・・・ッ、は・・・ッ、は・・・ッ」
途切れない熱い息遣いだけが、部屋に満ちていく。
誘われた絶頂の強烈な官能の渦は、あまりに烈しく、室井は喉の奥底で低く呻いた。
身体を痙攣させ、その快感をやり過ごす。
キツく眉を寄せて抗い難い強烈な快感を享受した。
かつて味わったことのない程の喜悦が、躯を駆け巡る。
これまで、達した時に声を上げたことなどなかった。
それほどまでに凄まじい快感だった。
堪らず腰を震わせ、室井は膝から青島の上に崩れた。
「ふ・・・っ、ぁ・・・・」
同じ余韻に誘われた青島の内股が、小刻みに震えている。
未だ息が整わない青島の息が室井の首筋にかかる。
それさえ感動だった。
ゆっくりと息を整えてから、室井は顔を持ち上げ、青島を覗きこむ。
まだ息が整わず、激しく胸が上下する艶かしい躯を、食い入るように見下ろした。
この姿を、この貌を、俺は忘れない。
全てを受け止めてくれた、聖なる存在に。
言うべき言葉も持たず、行動の理由さえ語れず、女のように脚を広げさせ、奥深い所までただ奪うだけの激しい衝動で貪った室井を
同じく赦し、無言で耐えた青島は、身体中に施された愛撫の痕が紅く散った躯を横たえ
それでも純真で透明な光を失わない。
汗を宵闇に月白に光らせる。
壮麗だった。
そっと張り付いた前髪を掻き上げる。
青島の瞼が、ゆっくりと持ち上がった。
その、無防備で泣きはらした貌に、状況も忘れて室井は苦笑する。
「室井、さん・・・・」
烈しい喘ぎで潰れてしまった声で、青島が自分を呼ぶ。
重たい躯を動かし、しがみ付いてくる。
軽く後頭部を抱き返し、室井は頬から耳へとキスを落とした。
「ふ・・・・・っ、おまえ、ぐしゃぐしゃだな」
「だって・・・・・こんなに好き勝手されるとは思わなかったんだ・・・」
頭に腕を回したまま、ゆるりとした動作で、視線を合わせる。
「何故・・・・責めない」
「そうやって責められることを臨んでいるから・・・だろ」
「天邪鬼だな」
「ど・・・っちが」
小鳥のような声で、青島が空想染みた言葉を口に乗せた。
汗で濡れた青島の髪にキスをするように、室井はその首筋に顔を埋める。
「足りないか」
「恥ずかしいこと言ってんなよ・・・」
「朝まで付き合ってくれるんだろう」
青島が、室井を見上げる。
その瞳もまた、どこまでも、純潔無垢な存在であり、穢れない。
じっとお互いの眼を見つめ合った。
ややして、青島が室井の後髪を、やや力の抜けた震える手で掻き寄せ、指を差し込む。
「一度・・・いちど、だけ・・・」
「・・・・」
瞬時に、青島が何を欲しているのか分かった。
だが、帰ってくるその日まで、告げられるものは何もない。
何も言わず、そっと前髪を梳いた。
頤を持ち上げ、顔を寄せ、口唇をそっと寄せる。・・・・・が、あともう少しで触れるということろで、思いとどまる。
視線を外した。
青島が、今にも泣き出しそうな顔をして、掠れた声で紅い口唇を動かす。
が、何も音にはならなかった。
室井は黙って、何度も貪った青島の体内に埋め込んだままだった自身を引き抜き
そのまま、身体を起こす。
視界の隅に、青島の凍り付いたような寂しげな瞳が掠めたが、気付かないふりをする。
ソファを降り、シャツを羽織ると、室井は無言で部屋を出ていった。
その姿をじっと見送った青島は、そのままそこで意識を途切らせた。

えろって恥ずかしい/////精一杯すぎる・・・きっともう読み返せない・・・。流れが悪かったらすみません・・・
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