恋人設定の話です。といってもえろはなく、付き合い始めて少ししたくらいの初々しい感じで
す。
青島くん視点にしたら妙に可愛いと言うかむず痒いというか。当サイト初の甘ったるい話が出来上がりました。まあ、青島くんがかわいいからね!
時間軸は未定。でも室井さんはまだ管理官時代。のぼせたおっさん二人と巻き込まれた真下くんが登場です。
さくらんぼ舞曲
1.
タクシーから転げるように飛び出すと、深夜にも関わらずアパートに走り込み、扉を大きな音を立てて閉ざす。
青島はその場にへなへなと座り込んでしまった。
口許に手を充て、荒れた息より激しくざわめく胸中に咽びかえる。
冬の冷えた空気で頬は桃色に赤らみ、身体もしっとり汗ばんでいた。
「・・は・・っ、・・はっ、ぁ、はあぁ~・・、」
自分の息遣いだけが鼓膜の奥まで響くほど静まり返った部屋は、出ていった時のままだ。
無造作に投げ捨てられたシャツ、ジーンズ、放置していた煙草の吸殻、飲み干した缶ビール。
目に映る馴染んだその光景がこの街で暮らした現実へと青島を引き戻してくる。
「~~っっ」
だからこそ血が上り、青島は真っ赤になった顔に両手を翳し、息を整えることも忘れた。
うっそだろ。でも、嘘じゃないことは自分が一番知っている。
すっげえぇぇぇ。
荒げた息が苦しくて、青島はシャツを掻き毟るように掴んだ。
落ち着かせようと視線を辺りに揺らすが、現実感が押し寄せるほどに気持ちも身体も騒めいた。
だって。だって。
まさかこんな日が。
思考がまた彼方へ飛びそうになった瞬間、ポケットの中でケータイが震動する。
「うわああぅ・・はいぃッッ!!」
飛び跳ね、青島は両手を挙げた。
心臓がバクバク言ってる。
何やってんだと思いつつ取り出したケータイ画面を見れば、たった今考えていた男の名前が表示されていた。
「わわわ」
それを見てまた手元が狂って、ケータイは掌で踊った後、弾みで床にカツンと落ちる。
プツンと呼び出し音が切れた。
なにやってんだ俺。
動悸は止まらない。
やっっばい、すっごい、どうしよう・・・。
どうもこうもないことだ。でもお湯が沸騰しているみたいに鼓動は止まらなくて、逸る気持ちは切なくて、酸素、足りない。
まっずいよな。
まずいよ、これ。
途端戻る氷のような静寂に追い詰められるままに、青島は殺していた息を長く吐いた。
泣き出しそうな顔を隠す様に前髪に指先を絡めながら膝に手を充て立ち上がる。
出たい。声が聴きたい。でも今出たら、ぜってー情けないこと言う。
「ああぁもぉ!」
ズカズカと部屋に上がり、ケータイは放置したままベッドへとダイブした。
軋んだ身体が馴染みのない悲鳴を上げる。
ちょっと考え、また頬を赤らめると、青島はそのまま枕に顔を押し付けた。
――さっきまで、室井の部屋にいた。
付き合う前は何度か行ったことがある。
そこで、初めて男に抱かれた。
室井と付き合いだしてから数か月。随分とプラトニックなお付き合いをしてきたが、別に純情だったわけじゃない。
お互い忙しくてまとまった時間があまりとれず、メールや電話、食事などで仲を暖めるのが精いっぱいだっただけだ。
お互い相手が同性というのも初体験で、様子を探り合っていただけだ。
初心な純愛を貫こうとか、信じていた訳じゃない。
昨日ようやく室井の抱えていた案件が一つ片付いたということで、時間が取れたから逢えないかとメールが来た。
そして、付き合い始めて初めて部屋へと誘われた。
その時から室井の下心なんて、分かっていた、と思う。
「ぅぅぅ」
疲れた身体は昂りだけを残し、睡魔へと誘ってくれない。
青島はばふんと布団を被った。
とても眠れそうにない頭が、冴え冴えとした向こう側で、さっきまでの映像を繰り返し再生してくる。
不意に握られた手は思った以上に硬く冷たかった。
必要以上に饒舌となって会話を続けていた青島の口が止まり、不自然な沈黙が重苦しく圧し掛かり
でも見つめ合った視線が外せなくて、その奥に潜むものを暴きたくて、どうすればいいのか、まるで分からなかった。
抱き寄せられ、ただ熱い瞳と欲しいという言葉一つで、青島の呼吸は止まった。
切実な男の願いに眩暈すら引き起こされ、視線を外すことすら許されず、だから瞼を閉じるしかなくて。
それを合図としたかのように、室井からの烈しいキスに巻き込まれた。
そこからのことは、正直記憶は曖昧だ。
身体から剥ぎ取られる布がもたらす風の戦ぎや衣擦れの音が、室井の息遣いの中に消されていった。
身体中を這う繊細な指。熱を引き出す男の技巧。
脚を開かれ、肉を嬲られ、殺す声も室井の指を差し込まれたことで、口ははしたなく開いていた。
何もかもが自分の思い通りにいかなかった。
俺を知りたいと暴く指先に、信じられないくらい、自分の身体の裡と肉から熱と官能を引き出された。
もっと触れたいとか、もっと愉しませたいとか、青島だって男として考えていたのに
横たえられた躰は力すら入れられず、縋る指先もその背中を抱くことも出来なくて
裂けるほど大きく割られた脚も、淫らな顔を晒す羞恥も、やがて考えられなくなるほど室井の与えてきた熱情は獰猛だった。
あれは、ある意味、弾劾だった。
「ああぁぁ~・・・・もぉぉぉ・・っ」
想像したくもない場所が、埋め込まれていた質量を今も欲して違和感を訴えている。
まるで欲しがっているような自分の身体の変化について行けず、青島は布団の奥に潜り込んだ。
寝返りを打てば、鋭い痛みがツキンと走る。
内股に少し濡れた感触が伝った。
ああぁぁ・・・熱出そう。
あんなに優しく穏やかで灼けた手に導かれるなんて、思いもしなかった。
自分がかつて女の子を抱いた時だって充分丁寧に気遣い愛撫したつもりだったけど、そんな比じゃない。
がっしりとした肩幅、厚い胸筋、鍛え抜かれた腹筋と、引き締まった臀部。
どれもこれも青島の比ではなかった。
それだけじゃない。多分、室井はまだ素面だった。
翻弄され酸素すら奪われて意識も朦朧白濁していた青島とは対照的に、青島をじっくりと解し視姦し導くだけの、余裕があった。
獣欲に呑まれ溺れるような、そんなミスはしなかった。
男としての、そしてキャリアとしての差もありありと見せつけられ、悔しさからなのか魅了されてんのか、潤んだ視界に滲む男は
獣の情炎を迸らせながらも青島だけを見つめ、淫欲を啄んでいた。
「イタイ・・・、何か塗っといた方がいいんかな・・・、明日腫れたら歩けない・・・」
か・・・・っっこよかった。
崩れた黒髪は青島が乱した。普段ならぴっちりとした男が、青島の上で精悍な身体を露わにしてしならせる。
抱かれたことに後悔などひとつもなかった。
抱かれるはめになることに多少の計算違いはあったが、室井を抱こうだなんて大それたことは思えなかったし、あの見事で逞しい肉体美を目の当たりにしては、
言葉もない。
律動を繰り返すたび妖しく揺らぐ腰の動きと、しかと回された筋肉質の逞しい腕、断続的に荒げ上下する胸板。
自分を貫く太い楔。
映像が刺激的過ぎて逆上せてくる。
どーすんのこれ。
どうしよう。
あんなカッコイイとは思わなかった。ちがう、分かっていたんだけどそれ以上だった。
荒い息遣いも、呼吸すら攫っていく口付けも、深く繊細な指先も、男らしくて、武骨で、手際良い。
もっと、乱れさせたい。もっと溺れさせて夢中にさせたかった。何が悔しいのか、どこか負けた気がするのは何故なのか。
すげぇ好きだ。すっげえ好きなんだ俺。
背中を辿った輪郭を憶えている。
鮮明に浮かぶのは天性の骨格と肉付き。振り返り、一切無駄のない腕で自分を抱き寄せる仕草。
出会って、ぶつかって、離れて、また惹き合って。
因縁なんだか淫縁なんだか。
自分が思うよりずっと恋していたみたいだ。
息が出来ない。
こんな恋、知らなかった。
離れた温もりが半分消えてしまったみたいに。
2.
こんな時でも事件は起こる。
管轄内で殺人事件が起き、本店一課が乗り込んでくると聞いて、署内は騒めき立っていた。
今、総出でこの大会議室を捜査本部用に改変している。
弁当の発注書を確認しながら、青島はなんだか嫌な予感がした。
先日抱えていた案件が一つ片付いたっていうから、昨夜自分たちは結ばれた。
ってことは、このタイミングならこの捜査に室井が乗り込んでくる可能性は高い。
今は逢いたくない。っていうか、どんな顔して逢えばいいんだ。
照れ臭いやら、気恥しいやら、後ろめたいやら。処女を奪われた乙女か俺は。――いや、そんなに違いはないのかもしれない。
「本店到着しました~」
「ひえぇっ」
手元からばさばさとレポート用紙が雪崩のようにスライドする。
またやっちゃった。
深い妄想の奥に沈んでいたせいで、心臓が飛び出しそうだった。
うんざりしながら青島はしゃがみ込んで散らばった書類を集め出す。
「どうしたんですか?センパイ?」
椅子やテーブルのセットを終えた真下が見ていたのか、不思議そうに訊ねてくる。
青島は落とした書類を拾いながら、なんでも、と誤魔化した。
いい歳して恋に一喜一憂するような青臭いリアクションする自分が情けない。
そんなんだからいつまで経ってもベッドでも室井に勝てないんだよな。
「先輩、ちょっと顔赤いですよ」
「ああ~・・・、ここ蒸すね」
「そう言えば。これから更に人がいっぱいになるなら一度換気しておいた方がいいですかねぇ・・・」
「エアコンの設定、誰か変えた?」
集め終えたレポートはぐしゃぐしゃだった。
それを伸ばしてトントンと整える。
「本店は節電に煩いですからね。確認しておいた方がいいかも」
「じゃ、俺やっとくよ」
「まあ、誰が来るかにもよりますけど。今日の管理官、誰だと思います?・・・・・・、あ、室井さんだ」
「うわ・・っ」
再び集めたレポートの束が青島の掌からバサッと落ちた。
「ありゃりゃ、落ちちゃいましたよ!?」
「ああ、・・ぇ、ぁれ・・っ?」
カクンと膝が崩れ、突如青島の身体がその場に沈み込んだ。
近くのテーブルに手を付くことも忘れ、ぺたんと尻を付いてしまう。
ふわりと舞う栗色の髪に手を差し出す間もなく、真下が慌てて跪いた。
「ちょっ、ちょっと!大丈夫ですか?やっぱり熱とかあるんじゃ・・・」
「か、風邪かもね・・」
言う声まで震えている気がする。
室井の名を聞いただけで腰が砕けてしまった。うっそだろ。偶然だって。
でも腰に力が入らないのは偶然なんかじゃなくて。
「ぁ、あれれ?」
立ち上がろうと腰を上げるが足に上手く力が入らない。
無暗に床を掻いただけで、汗ばんだ手に張り付いたレポートが一枚破けた。意図せずまたレポートも辺りに散らかっていく。
青島は途方に暮れた顔をして舌打ちした。
「ちょっと医務室、行った方がいいですよ。僕、連れていってあげましょうか?」
「いいいいいいよ、そのうち治るって」
「薬は?」
そう言って心配げに真下が顔を覗き込んでくる。
その真下の手が合わせて伸びてきて、思わず青島はびくっと固まってしまった。
あ、と思った時には目の前で真下が目を丸くしている。
「え、え?何?僕、なにかしました?」
「や、ちが、」
「・・・・」
「悪ぃ、気にすんな。へーきだから」
慌てて繕うが、真下の目は俗気なかった。
しまったなと青島は平静を装い前髪を掻き揚げてみる。
こんなお坊ちゃんでも未来のエリートキャリアなのだ。それなりの訓練と素質は持ち合わせている。
そう簡単に人の言葉に騙されるほど小市民的でも凡庸でもない。
珍しいものを見るような、面白いものを見つけたような、そんな茶目っ気ある色を浮かべた真下の目が、しげしげと青島を観察した。
居心地が悪く、青島は不貞腐れて目線を上向ける。
「な、なんだよ・・・」
「センパイ、今日、妙に可愛いですね」
「ふっざけんな」
やっぱり失敗した。
真下なんかに隙を見せたのが不味かった。
「センパイでもそんなとこあるんですねぇ」
「なにがだよ」
さっき、男の手が、自分に向かう男の手の映像が、その手が与え導きだし、己の裡から引きずり出した熱と狂気を一瞬にして想起させた。
目まぐるしい狂乱の熱と圧倒的な結末が蘇り、思わず身構えてしまった。
この手じゃない、分かっているけど、知らなかった自分を引き出された変化は、自分にだって受け入れ難く
未だ記憶も不鮮明だ。
あんな、あんな自分、自分じゃない。
声だって、あんな。
あんなの、嘘だったんだって。
昨日の今日で、そんな綺麗に割り切れない。
「少し潤んでますけど、平気そうですね」
「・・知るか」
「ちょっと、色っぽい」
「ばばばばばかっ」
握り拳で過剰に否定したら、真下が楽しそうに笑う。
こんな風に温かい空気で包んでくれるとことか、実はノリがいいとか、真下のことは好きなんだけど、今はちょっと渦中の人となって、困る。
青島は自分のものじゃなくなったような足を投げ出し、諦めの境地に入った。
好きっていう感情は色んなカタチがあって、一概に一つには括れない。
どうして男なのに、あのひとだけが目に映るんだろう。
どうして駄目だと分かっていて、この感情は迸るんだろう。
室井の熱い息遣いが今も耳で呪縛する。
寡黙で凛然とした男はベッドでも多くを語らず、ただ時折、堪え入るように、青島の名を呼んだ。
室井も感じているのだと分かって、それが、かなりキて、青島を凶悪的に煽り立てた。
内股を震わせ、貫かれながらも意識を留めたのは、あの低い掠れた声と、嬲られる肉の灼けるような痺れだ。
いつもより険しく歪んだ男の貌で室井はむしゃぶりつくように青島を隅々まで堪能した。
自分を貫く熱い塊に身悶え玩弄され、甘ったれた声を上げた。
ああもう、誰かこの映像止めてくれ。
「前から思ってましたけど、センパイって年上にモテるでしょ。なんか可愛がってみたいというか」
「・・・、そーゆーお前は雪乃さんとどうなってんだよ」
「僕の恋愛相談に乗ってくれるなら今度飲みに行きましょうよ」
「いいけどさ、お前ヘタレなんだもん」
「逆にセンパイは熟女狙いですか?」
「どうしてそーなんの」
「だって、急に無防備なとこ見せられると悪戯も我儘も許せてくるっていうか。ああきっとこんな風に手放せなくなってくんだろうなぁって。素質の問題?」
「はぁ?何言ってんのお前」
「だからぁ!今日のセンパイ、ほんとなんか可愛いですよ。何かあったんでしょ?」
鋭い。
雪乃さんの名前を出してさりげなく方向性をずらしたのに、あっさりと話を戻してきやがった。
なんだか反論するだけ今は逆効果になる気がして、青島はむくれたまま横を向く。
「ほら、そういうとこ。今日は隙だらけ」
「うるせ。見過ごせよ」
すっかり反抗するのを放棄してしまった青島に、真下は両手で口元を隠し、声を潜めて辺りにひと気がないか注意を払った。
「ちょっと前まですみれさん狙いかな~と思ってたんですけど、どっちかっていうとセンパイの方が甘えたがりでしょ」
「だからってなんで熟女だよ?」
「ね、ここだけの話、どんなえっちしたんですか。腰が砕けるほどのイイ女?」
「俺カノジョいないけど?」
「え、じゃ、行きずりッ?!」
「ばばばばかッ、声でかいよっ」
慌てて真下のネクタイを引き、口を押える。
あわあわとふためく青島を餌に、至近距離でそれはそれは好奇心爛漫な瞳が覗き込んでいた。
誤魔化そうと装うほど、どうも今日は不味い方向に話が飛んでいく。
星巡りの悪い日なのかも。
「頼むから、見なかったことにしてくんない?」
「そうやって女の子口説いてんですか?そんな顔なら僕も落ちそうです」
「ばか言ってんな」
「え~?なんかぎゅってしたい」
「お前じゃヤだよ」
「え~?またまたぁ」
「早く仕事戻れって」
「じゃ、誰ならいいんですか?」
「っ」
誰。
そんなの一人しかいないけど。そう思った途端、その男の顔が脳裏に浮かび、青島は思わず硬直してしまった。
目の前で跪いた真下が高らかに笑う。
「せんっぱい、ばれっばれ。実は顔に出やすい人だったんですね」
「やかましいわ」
「やっぱり昨日その女性とイイコトしたんでしょ?」
当たらずとも遠からず。
刑事はどいつも勘が良くて困りものだ。
「うるさいよ、早く仕事戻れって」
「うおぅ、マジですか。ヤりすぎで腰が立たないなんて、僕したことないですよ・・!うっらやましいぃ!」
「声でかい」
「もしかしてそのカラダには昨日の生々しい痕が残ってたりするんじゃないですか?」
見たい見たい、そう言って真下は元々緩められていた青島のネクタイの結び目を引っ張ってくる。
・・・・ぅうん、確かに残ってるけど。
でも見せられっか。
やばいと思って身体を捻れば、余計にシャツが乱れて青島の襟元が崩れていく。
「こらっ、やめろっ」
「あはは、かーわいい」
「引っ張るなって、ネクタイ解けるっ」
「やっぱり年上って、リードしてくれるんですか」
確かにリードされっぱなしだったけど!
「やっぱ正常位より騎乗位で?」
ほぼマグロだったよ・・っ。
「バックで、こう、腰向けて挿れていいわ、なんて言われたり?」
「~~~だからっっ!」
「うん、センパイには年上お似合いな感じ」
「どーして!」
「経験豊富ってエロイですよね~、こう、豊潤なボディが!揺れてました?」
真下が指で胸を揉む仕草をし腰を揺らしてくねらせる。
真下がこんなムッツリだったなんて初めて知ったわ。やべぇこの坊ちゃん。
頻りに羨ましがって目を細めている。
熟成された肉体は想像以上だったけど、嬲られて何も出来なかったなんて死んでも言えるか!
「なんでも教えてあげるわとか、何にも知らないのねって罵られたいっ!ねっ、そんなかんじですか?」
「あのな」
「何回抜かれたんですか?」
「そそ、そんなにヤるかっっ、何ソーゾーしてんだよっ」
真下が遠慮なく引っ張る手を避けようとするからジャケットが片方腕から脱げ、ワイシャツのボタンが一つ外れた。
「警官してるとそこそこのAV目にするじゃないですか、見飽きちゃいますもんねぇ、分かる」
「そんなこと言ってると雪乃さんの尻に敷かれるゾ」
「どうしよう、僕、想像で勃ちそう」
「早漏も嫌われるな」
会議室の最後尾でどんどん乱されていく自分に、青島は内心焦る。
情痕を見られるのも嫌だけど、ここは大会議室だ。
こんな浮かれてふざけた現場を課長にでも見られたら、絶対叱られる。また減俸にでもなったら洒落にならない。
それが室井の耳にでも入ったら立つ瀬ない。
じゃれ合いの範疇を出ない、傍から見れば睦まじい応酬をどうやって止めようかと思案していると
不意に二人の頭上から硬直的な声がかかった。
「失礼」
「「はははぃぃ・・っ」」
二人して顔を挙げればそこに険しい顔をして立っていた男に青島は目を剥いた。
「会議が始まる」
「すすすみませんっ」
「・・・君は仕事へ戻れ」
「はっ」
室井が真下に低く命令を下せば、真下は直立して敬礼をした。
憧れていると言っていただけあって、その目や気配に愛敬が伺える。
静かに頷く室井に心底誇負した顔で、真下も黙従した。
その背中を頼りなく青島が見送る。
「青島」
名前を呼ばれただけなのに、青島の背筋に緊張とそれ以外のものが走った。
ベッドの中で散々聞かされた艶のあるバリトンは、コクがあって妖艶だ。
「・・・なんですか」
「医務室へ行く」
「・・なんで」
「・・・・」
返事がないので、ようやく頼りな気に青島が顔を向けた。
自分の真横に正立するダークカラーのスーツが目に入る。
磨かれた曇りのない黒の革靴。すらりと伸びる足とスレンダーな腰つき、そして格調高く美麗な背筋と肩幅が目に入った。
そのスーツの中は見た目以上に豪勇であることを知っている。
ゆっくりと視線で辿れば、その一番上に一日ぶりの見知った室井の端正な顔があった。
いいから、と、室井の深い瞳が有無を言わせぬ強さを持って見下ろす。
さっと顔を背ければ、二の腕を引いて引き上げられる。
室井はそのまま上座を振り仰ぎ、そこに少し声を張り上げた。
「少し抜ける。先に進めていてくれ」
「了解しました」
あっさりと黙認の了承が届き、青島は焦った。
「・・んなっ、ひ、ひとりで行けますよ・・っ」
室井が声を発したことで注目の的となったことも気恥しく、腕を振り払おうと覚束ない足で左右に踏ん張るが、当然びくともしない。
そんな青島の反論はあっさりと無視され、室井は飄々と歩きだす。
丁寧に撫でつけられた後頭部は何も語らない。
こっえぇ。
3.
「管理官がいないとまずいんじゃないの」
「今回は補佐で来ている。この特捜の指揮を執るのは今中央に座っていた若い男だ」
「ああ・・・、あの紫のネクタイをした・・・」
ポットからお湯を注ぎ、室井が備え付けのティパックで麦茶を淹れる音がする。
細長い指先でそっと手渡されたそれに、ぺこんと頭を下げると、青島は両手でそれを受け取った。
「どこから・・・見てました?」
「君が、座り込んだところから」
「悪趣味って言葉知ってます?」
背を向けたまま茶を淹れるにも無駄のない男の背中を青島はじっと見た。
真っすぐに伸び、肩肘を張らない厳格なまでの男の背中だ。
スーツを脱いだ室井を見たのは勿論昨夜が初めてだった。
こんな謹直な場所で見れば益々それは幻のようで、有り得ない話を仕掛けられたような気さえする。
実は全部夢だったんじゃないのか?
俺の妄想で、願望がはしたない夢を見せたんじゃないか?
この、躰に残る痛みさえなければ。
「・・・・」
ぼうっと麦茶に映り込む蛍光灯を目に映す。
何で室井は青島を抱いたんだろう。
それ以前に、何で恋してくれたんだろうか。
こんな場所で見れば、それは果て無く虚構の中にいるようだった。
キャリアに傷をつけるわけにはいかない。いずれ室井はこのピラミッドの頂点に立つ。
出会った時からそれを目指す男であり、その目標はやがて青島の理想と一致した。
そんなロマンとも絵空事とも言えない未来を本気でやるというから惚れ込んだ。本気だったから懸けられた。
味方の筈なのだ。
なのに。
熱に浮かされた嘆息、情欲に染まり顰められた眉間。
腐乱に振られる腰から伝わる振動と熱が断続的に気怠い疼きを生み出し、爛れさせ
奥深いところまで穿たれると同時に、あの黒々とした瞳に視姦され、信じられないほど感じた。
今、室井の世界を独り占めしていた。
そんな男の色事な一面を見てみたいとも思ったし、そんな男に求められる優越感や背徳感に腰砕けになったのも事実だけど
そんな淫靡な姿を晒させて、俺は。
「・・・青島」
「うわぁははははいぃぃっ??」
また淫らな妄想の彼方へ行っていた青島は、飛び上がって返事をした。
心配そうに訝し気な顔をした室井がいつの間にか目の前に立っていて、小首を傾げた。
ぴったりと整髪料で撫で付けられた前髪が夢と現実の乖離を象徴している。
こぽこぽと給湯ポットが背後で蒸気を上げる。
医務室は静かで誰もいない。
遠くで誰かが騒いでいる声が届く。
室井の湯飲みを持つ指先さえ見れなくて、青島の瞳は前髪に隠される。
「やっぱり・・・、その、調子が悪いか」
どこか言いにくそうに室井が訪ねてくる。
昨夜の出来事を思い返して悶絶していましたとも言えなかったし、強ち外れてもいない指摘に、青島はそっぽを向いた。
室井の前で、まるで初めて恋を知った少女のような言葉だけは吐きたくない。
抱かれたって、そこんところだけは意地を張りたい。
大体処女じゃないんだし、心配されるほど気恥しい。
あ、でも俺、処女とおんなじ?
「無理をさせたか・・」
「心配するほどのことじゃないです」
一歩下がり、手前のテーブルに腰を落ち着け、室井はたじろぐこともなく視線で青島を糺した。
「君は・・・強がるから」
「嫌なら“命令”すればいいでしょう?」
心の奥まで見透かされそうで、目を合わせられなくなり青島はお道化る仕草でぐるんと椅子を回転させて反対側を向く。
例え、一線を越えたことで抱える不安や戸惑いがあるのだとしても、それは青島の問題であって
室井に抱えさせるわけにはいかなかった。
「昨日、電話に出なかったろ。少し――心配していた」
「・・・寝ちゃって」
「そうか」
だけど、危険なものほど――甘い。
「・・信じんの」
「君がそう言うなら」
達観した返事が返ってきて、ぶり返す反発に青島の中で負けん気が勝った。
そうだ、こうやって何でも悟った顔しちゃってさ。
普段高圧的なとこもあるくせに、妙なとこで大人びていて、4つの歳の差を見せつけてくる。
ムキになって一緒に泥まみれにはなってくれなさそうな。
一緒に捜査飛び出したくせに。俺のことあんな風に抱いたくせに。
「今のは問い詰めるとこじゃないの」
「つまり嘘だと」
「それを見抜くのがカレシでしょ」
「すっかりおかんむりだな」
「・・・何笑ってんですか」
「やっといつもの君らしくなってきたなと。・・思った」
「・・・・」
「君が元気がないと、こっちも調子が狂う」
「そんなんで、上司って出来んの、やり辛いもんなんじゃないの。ってか信じられんの」
「そこに嘘はないだろ?」
「ちぇ~・・」
「君は変なとこは素直だ」
「忠誠心は純粋なだけですぅ」
背後で室井が吐息で笑った気配がする。
やんなっちゃうなぁ。
室井の前では何故か意地も虚勢も消されてしまう魔力があるみたいだ。
いつもは意地っ張りの青島でも、なんか戦意が薄れていく。
盗み見るように肩越しに一度視線を送る。
背中越しだったのに、気配を感じ取った室井も同時に顔だけ向けた。
本日初めてしっかりと二つの視線が絡み合う。
視線が合わされば、何もかもが透けて透明になって、放せなくなる。
視線が甘酸っぱく撓んだのがお互いに分かった。
「他の男に・・・あまりああいう顔を見せるな」
「ぅん?」
「・・・・」
さっきの真下とのやりとりだと気付いて、青島は唖然としつつも引き結んだ口端を悪戯っぽく持ち上げた。
「室井さんって実は意外とやきもちやき?」
「意外とじゃない、かなりの欲深だ。・・・知らなかったか」
「知らない」
「今だって君を押し倒して服を剥いでしまいそうなのを必死に抑えている」
なんかちょっと、気が緩んだ。
室井もまた、大人の男の顔をしながらも緊張したりドキドキしたり、甘い疼きに翻弄されたりしていたのかもしれない。
室井によって作り上げられた躰は予想外に鋭利な反応を返す様になり、この上更なる艶冶な変化を青島に強いた。
強引に導かれる先行きに怖じ気てしまう一方で、でも室井と共に堕ちるのなら、情欲の世界は理性と感情に折り合いをつけさせるだけの効果を持たない。
気が緩んだのは室井もだったのか、それまで躊躇っていた足を動かし、青島の傍まで近寄ると
まるで壊れ物を扱うかのような穏やかな動きで手を翳し、そっと背後から青島の頬に甲を滑らせた。
「痛むか・・?」
「少しね。でもへーき」
「手荒なことをした」
交じり合う配合は恋人に相応しい糖分に変わる。
「んーん、室井さん、優しかったよ」
何とも言えない顔をして、室井は返す言葉を探せず、青島の後頭部を引き寄せた。
自分の胸元に額を押し付けさせ、労わるように優しく青島の髪を握り締める。
されるがままになりながら、青島も肩の力を抜いた。
昨日と同じ匂いがする。
この胸と腕に抱かれて、あの凶悪なまでの刺激を与えられた。
すんげぇ、セクシーだった。
4年経ったら俺このレベルになれんの?まず無理だって。
「夢だったんじゃないかと」
「えぇ・・?」
「昨日ようやくこの腕の中に捕まえた筈だったのに、確かだったものは朝になったら何もない」
「・・・そりゃ帰ったのは明け方でしたけど」
「やっぱり送るべきだったとすごく後悔した」
「タクシー呼んでくれたじゃん」
「あんな顔、誰にも見せたくない。なのに電話にも出なかったし折り返しもなかった。その気持ちが分かるか」
自分と同じことを悶々とする男に何だか似た者同士だなと笑えてくる。
いい歳して初恋に落ちたみたいに初心でピュアだ。
「・・・何を笑う」
「だって」
「君が・・・・誰を想っているか、ちゃんと捕まえているのか、時々不安になるんだ」
「俺ちゃんと言ったのに」
「ああ、でもふっと・・・どこか飛んでいってしまう気がして。いつか、誰かに掻っ攫われる気がして」
「・・・誰にだよ」
胸に押し付ける室井の力が強くなる。
行かないでくれとは言えない男の堅苦しさと意地が、切なく伝わり、青島は少しだけ瞼を落とした。
ここが署内でなかったら、きっともっとぎゅっとしたいんだろう。
室井はこうして独りで背負うことで壮健となり、様々な障害も弊害も抱えるままに、本旨を遂げてきた。
もしかしたら室井は、こうしてマイナス要素を背負う度、勝ち抜ける性なのかもしれない。
そんな男が腐らず焦らず戦っているから、気高い。
人間には限界というものがあり、どこかにガス抜きが必要だ。でも青島は自分の存在で癒したい、癒して欲しいとは思わない。そんな男にはなって欲しくない。
俺は、傍観者にはなりたくない。
「もっと・・・知りたかったです」
「・・・ほんとか?」
青島だって触れたかった。
暴かれても、一つに繋がれて、嬉しかった。
それをどう伝えたら良いのか分からないだけだ。
片手を室井の胸に付いて、ぎゅっと突き放した。
驚くこともなく青島の意のままに少しだけ身体を離した男は、距離をそれ以上渡すことは許さず、視線を奪ってくる。
返事の代わりに青島は自分の頬を遠慮がちに辿る室井の細長い指先をそっと掴む。
昨夜、雄弁に愛を語り、執拗に熱を引き出された繊細な指先にちゅっと口付けた。
「気付いてなかったの」
「そんな駆け引きが出来るようなら、もう少し出世も早い」
口端をぎこちなく強張らせながら、まるで他人事のように零すから、青島も思い晴る。
手に持ったままでいた冷めた麦茶を飲み干すと、近くのテーブルに戻した。
ぐりんと勢いをつけて椅子を回すと室井の方に身体ごと向く。
合わせて向き合った室井を下からじぃっと見上げた。
「だってすっげ余裕だったじゃないですか」
男として無害な顔してるから、すっかり騙された。
この玲瓏な見た目が騙すが、もっと強かで、もっとタヌキで、少しだけワイルドだ。
「そう見えたか」
室井が意外だという顔をして肩眉を上げて見せた。
「優しいからこそとんでもなかったですよ。俺もぉどんな顔してりゃいいんだか」
「そのままでいい」
「出来るかっ、昨日だってあんなことされて、あんなで、室井さんこそ幻滅したかもとか・・!」
「すごく可愛かったんだが」
「あああのねっ、どんな目してんですかっ、ぁ、あんな、あんっな・・っ」
「それにとても、その、色っぽかった」
「ば・・ッ」
「柄になく、負けん気が勝ってな、少し余裕を失った」
「うそだね」
「本当だ」
室井が眉間を寄せる。
「君こそ、逃げるようにいなくなるから」
「必死だったんですよぅ」
「たくさん泣かせたから・・・。本当は男に抱かれるの、嫌だったのかと勘繰った」
「うわわあぁぁっっ、こここんな場所で何ブチかましてんの!伏字にしろ!」
室井の口を両手で×の字にして塞ぐと、辺りをきょろきょろと見回す。
勿論誰もいないのだが、誰かに聞かれたらどうすんだ。
室井にはこういう妙に開き直ると豪胆な部分がある。
青島のそんな怪しい動きをあっさり無視すると、室井は自分の口許を抑える両手を掴んだ。
意思を込めて両手首を掴まれ、青島は驚くままに顎を反らす。
「余裕なんかない」
「・・・」
「君に、余裕なんかあるか」
「そう・・は見えませんでしたけどね」
「そう思われるのは歓迎だが、騙すようで座りが悪い」
「はは」
「何度でも言ってくれ。言ってくれないと、俺は分からない」
「甘いんですよ、自分だけ聞き出そうなんて」
青島の両手を左右で掴んだまま、室井が素早く顔を寄せた。
あっという間もなく、大胆にも口を塞がれる。
こここんなとこで、こんなことするひとだったなんてっ。
「ン・・っ、・・ぅ・・・」
柔らかくねっとりと吸い付かれ、焦らすように擦り合わせられた肉の感触に、不覚にも一気に甘い疼きを再燃させられる。
忘れさせるつもりはないと強かに弾劾されているようで、動けない。
大体なんでキスもこんなに上手いんだ?
うっかり薄く開いてしまった肉の隙間を室井の太くがっしりとした舌が這い回り、誘うように遊弄され、思わず吐息が乱れた。
乱れたせいで途端、辺りの大気が熱を孕む。
色付く情交に焦って、軽く身じろげば、逃さぬように室井がぴったりと肉を密着させてくる。
恥知らずな背筋が栗だった。
目を瞑り、眉を潜めて軽く身体を引くと、名残惜しそうに一度下唇を甘咬みされ、それでも室井は開放してくれた。
「あまり可愛いことするな。持ち帰りたくなる」
「・・・ずるい」
それでも放してくれない手首は、流石の隙の無さだ。
こうやって、室井は秘めやかにその素性を見せてくれる。
出会った頃は不愛想で官僚的な冷徹さが身を纏っていた。
でも、少しずつ話す様になって、少しずつ距離が縮まって、その懐の深さだとか熱意の気高さだとかを知ってきた。
狡いなぁ。
雛に刷り込まれたみたいに、いつの間にか室井で心はいっぱいにされてしまっている。
挑発的な瞳を煌めかせ、青島が睨み上げれば、それにすら煽られるように室井の焔が灯った。
繋がっていたい。
一緒に生きていきたい。
それは、職場の一部じゃなくて、部下としてでもなくて、隣でもっと色んなことをこのひとと一緒に重ねて行きたい。
俺は傍観者じゃ嫌だ。
「好きだろ?」
「きらい」
「反抗期だな」
「幻滅する?」
「そう簡単に手放してもらえるとは思わない方がいい」
本当はもうとっくに決まっていたんだろうけど、心を捧げて、身を捧げ、そして全部を与えることで全力で愛を捧げる。
愛し抜くことが青島に出来る唯一で最大の即効薬だ。
「俺の方が好きですもん」
「君じゃ俺に勝てない」
「むぅ」
自分は愛されている。こんなにも。それが最高で最凶だった。
それがあまりにも眩しくて。
禁忌的な恋だからだとか、足を引っ張るだとか、そんな定規で測った慣習なんかで一蹴なんか出来ない。
「俺に触りたくないの」
恋をしたんだ。この人に。
このひととずっと一緒に生きていく。
このひとが望んでくれる限り。
青島を望んで好きでいてくれて、誠意を込めて愛してくれる室井の気持ちが嬉しくて、擽ったい。
ちょっとくらい我儘になったって、予想した遠い未来がちょっとくらいズレたって、きっと室井の覚悟なんか、青島を抱く前から決まっていた。
くっそ、また先に行かれた。
置いていかれたくない。
「・・・さわりたい」
耳元で吐息で囁かれた言葉に、また腰の力が抜けた。
もう隠すこともなく、歩けないよと囁き返し室井の口唇に今度は自分からキスをする。
強面の顔はデレることはないけれど、ひっきりなしに乱されぐしゃぐしゃの俺の後頭部が室井の答えを物語っていた。
いつの時もこうやって隣で繋がっていられたら、俺はそれだけでシアワセだ。
「これが片付いたら、どっか行くか」
「・・・・・・・行く」
こうやって、口下手なこの人がさりげない優しさをくれるのが泣きたくなる。
あまり言えないんだろう胸の内を、柵が多すぎて身動き取れなくなってしまうんだろう心の歪みを、こうして少しだけ感じ取って
甘酸っぱい余韻に警戒も意地も溶けていく。
「そっか。・・・・どこがいいか・・・」
「べっつに・・・あんたと一緒ならどこだって」
言ってから、しまった、随分少女漫画みたいな台詞だと思った。
慌てて取り消そうとしても一度発した言葉は確実に室井の耳に届いている。
恐る恐る横目で盗めば、そこには初めて見た室井の嬉しそうな顔が咲いていた。
happy end

タイトルは大塚寧々の「さくらんぼ」から取ったのですが、さくらんぼ=チェリーBOYっ
て、え、これ笑うとこ?一人突っ込みしました。
当社比120%の糖度です。今までの1000倍体力使った。頑張った。やっぱり甘々は難易度も高い。