ここはストーリーになっていない小話の詰め合わせです。
三行半のワンシーン。ぶっちゃけ何でもアリです。
萌えネタ詰め

パソコン作業のお供に
・OD3後設定の湾岸署
「ちょっと~、灰、零れてるわよ」
「ん~?あれ、ほんとだ、ごめん、後で掃除しとく~」
「もぉぉ~、こんもり積み上げちゃって。ちょっと休憩したら?身体に悪いわよ?」
「でもさ~、ちょっと詰まっててねぇ、なんか情報ないかなぁってね」
「肺ガンになっても知らないから」
「それ禁句。笑えない」
「泣きべそ掻いてたもんね~」
「~~っっ、すみれさんっっ」
「心配してあげてるのよぅ」
「どうだか!その話、他の人に言ったら罰金だからねっ」
「あま~い、弱味はあたしが握ってるのよ」
「脅す気?」
「付き合わせる気」
「すみれさん・・・・おねだりするなら可愛く言ってよ」
「そしたらデートしてくれる?」
「しょうがないなぁもう。じゃあ今夜?」
「やたっ!・・・でも青島くん、ここ、禁煙って忘れてるでしょ」
「そこは見逃して。今、誰もいないじゃん」
「だめ。罰金」
「ああぁあぁぁあぁ~・・・」
「お財布、どんどん薄くなるね」
「同情するなら」
「はい、飴あげる。口寂しいんでしょ」
「いちご味?子供扱いして」
「泣いてた子にはぴったり」
「泣いてないもんっ」
「はいはい」
「・・・・・糖尿病になっても知らないから」
かさかさ。・・・・じゃりじゃりじゃりじゃり。
「・・・噛んじゃうんだ・・・」
「え、駄目なの?」
※すみれさんが青島くんにあげたのは三角形のいちごみるく飴。(お馴染みロングセラー)

二人の差
・二人の違いってこういうところに出るんだと思う
「んで、そいつとパトカーん中で盛り上がっちゃって」
「容疑者と車の中でか」
「いやぁ、楽しかった!アイツ俺より詳しいんすよ。ケータイストラップ付いてるからもしやと思ったら、ありゃファンっていうよりマニアだね」
「おい・・・不謹慎だぞ。仮にも容疑者なんだ」
「んな怖いカオしないでくださいよぅ、たかが送致の10分くらいですって」
「警察官は常日頃誰かに見られている意識をだな、」
「でも」
「今はネットで誰でも叩ける時代なのは君の方が熟知しているだろう。画像でもバラ撒かれたらどうする。忘れられる権利は裁判でも否定されたばかりだ」
「・・・・ぶぅ」
「う」←くっそ、かわいいなと思っている
「・・・・・」
「・・・・以後気を付けろ」
「はぁい」
強張った顔を悟られたくなくて横を向く室井。
「・・・でも取り調べでそれが役立ちました」
「?」
「その漫画って今かなり流行っているヤツでしてね。プロバガンダに近い偏向思想ぶちまけているから、絶対社会情勢持ちだせば乗ってくると思った」
「・・・・」←やっぱりコイツは転んでもタダでは起きないんだなとうっかり尊敬してしまった室井

通販生活
・室井さんが夜な夜なネットに齧りついて物色してるとか、ちょっと・・・かなり・・・うける
「むろいさーん、はいこれ。ポストに何か入ってた」
「ああ、ありがとう」
「なんすか?」
「ああ、定期購読している雑誌だ」
「・・・へぇ?えっちなやつ?」
「買うか馬鹿。君の思考回路はどうなっている」
「男なら買うじゃん。でもキャリアって買い難そうじゃん」
「ジュリストだ」
「・・・・地味っすねぇ~」
「君こそ少し勉強しておいた方がいい。本庁に日経ビジネスとダイアモンドがあるから読め」
「娯楽雑誌はないの?」
「ない。そんな時間も無い」
「だからそんな眉間になっちゃうんですよぅ」
「ほっとけ」
「でもやっぱりマメなんですね、定期申し込むなんて。俺も集めている雑誌あるけど、店頭購入だなぁ」
「何を集めているんだ?」
「ディア○スティーニ」
「・・・・・・」(まーたコイツは何かに凝りやがったな・・・・)

同棲したら
・PCは共用で
ネクタイを緩めながら呆れた視線を投げる室井。
「いつまで見てるんだ、早くどいてくれ」
「んん~・・・も・・・ちょっと・・・」
「何を見ている」
「んん~・・・、なに?まだ仕事?」
「明日までに提出したい報告書があるんだ」
「んなの本店で終わらせてきてくださいよぅ~」
「今日は会議が重なっていたんだ。・・・いいから。邪魔だ、さっさと向こうへ行け」
椅子に座っている青島を尻で押して強引に半分椅子を奪い返す室井。
「ぅわっ、ちょっ、な・・っ、なんすかもぉ~」
「風呂でも行ってこい。かち合うぞ」
「家にまで仕事持ち込まないで。・・って、結婚したら嫌われますよ」
振り向きざまに青島の口唇をちう、と吸う室井。
「俺にはおまえで手一杯だ」
「ここここれで誤魔化ししし・・・ッ」
もう飄々とパソコンに向かっている室井。勿論青島が数時間かけて苦心の末に辿り着いたサイトはブラウザごと閉じられている。
室井宅のPCはリスク回避のため履歴は追えない仕様。
開いた口が閉じられない青島。
「はぁぁ・・・・俺が甘いんだか、あんたが甘いんだか」
椅子を半分こに分けあったまま青島は室井の背中に背中を凭れさせた。

二人の差2
・やりかたの違いと思考の違い。見た目はまるで違っても
「新城くん、何故あの二人に仕事を任せたんだ、処分されるぞ・・!」
「すいません。ですが、少しだけご猶予を頂きたい」
「これまでの他捜査員の努力も無駄にすることにもなる」
「捜査は事実上暗礁に乗り上げている」
「だからといって一課の人間も入れずに二人だけで捜査を?」
「しかし部長、もしかしたら面白いものが見れるかもしれません」
「面白いもの?」
本部長は新城が僅かに開いた問題のドアの隙間へ視線を走らせる誘導に合わせ、そこから中の様子を覗き込んだ。
背筋を伸ばし隙のない姿勢で文献を漁る室井。その前では咥え煙草でモニタを凝視している青島。
「関連会社の収支報告書も当たれ」
「りょーかい、人物は」
「誰がやっても同じだ」
「飛ばしますよ」
二人の奥手にはホワイトボード。事件関係者の相関図。
「恐喝の立証条件は分かっているな」
「ん」
「秘書の女は12月頃だったと証言している」
「んなの、何とでも。・・・あ、そこのファイル投げて」
室井が空かさずファイルをテーブル上で滑らせる。片手で受け取り、青島が手袋を噛んだ。
鋭く短い口調が二人の間をリズム良く畳み掛ける。
「持ち込むぞ」
「どうする気」
「接点を探すんだ」
「もし・・・もし、前日の会議で二人が会っていたら?」
「役員名簿に名前はない」
「かつての同郷」
「山形と新潟」
「大学」
「物理学科と食物学科」
小さく唸って青島が立ち上がる。髪をくしゃくしゃ混ぜて歩き回る。室井は微動だにしないが眉間が深く刻まれる。
「じゃあどこで二人は」
「趣味や居住地もバラバラだ。だから上もこの二人は無関係と見ていた」
「間に第三者?そんなリスクを犯すかな」
「取引先はどうだ」
「菓子メーカーが機械産業に営業を?」
「・・・・」
「「付録!」」
「その線で行こう」
「よっしゃ!」
室井が勢いよくジャケットを脱ぐ。また二人が向かい合って席に座り資料を捲り始める。
「これ終わったら俺、周辺に聞き込み行きます。営業なら誰か顔を覚えているかもしれない」
「私も出る。その線で本人に聴取をかける」
一瞬だけ二人の視線が交差する。
それは一瞬のことだけで、すぐに無機質な紙を捲る音と静寂に包まれた。
その様子を一頻り見た新城と部長はもう一度ドアの外で顔を見合わせた。
「息が、合っているのか・・・?」
「何かが起こりますよ」
「キャリアとノンキャリなのにか」
「プライドがあるからこそです。しかしプライドがぶつかるから共振する」
「不思議な二人だな・・・」

気が付いたらキャラにやらせてしまうこと~台詞編
・室井さんは言うべきことも言わないから困るんだよ
「意思確認って大事なんですからねっ、愛想尽かされちゃうんですからねっ」
「男は決断することが大事なんだ」
「へえ、随分と強気ですね。そういうの、亭主関白っていうんですよ」
「だから何だ」
「古い!」
「おまえみたいにやたらめったら口にすれば良いってもんじゃないだろう」
「なんで!」
「真実味が薄れる。信じることも大事だ」
青島の顔が微かに歪み、傷ついた顔をした。
「・・・たった、一度で、いいだけなのに。なんでそんな意地悪言うんだよ・・・」
「青島・・・?」
「信じるって言えば俺が何でも引きさがるって、思ってる?」
「・・・・」
「悪いけど、俺そんなに自信ないです」
「ちょっと待て」
「不安しかないよっ、結局俺のこと、どうでもいいってことでしょ!都合が良いだけの暇つぶしだって!」
「んなわけあるか!どうしてそうなる!」
室井が青島の両腕を掴んで制した。
引き留めたことで少し素直になった青島が、いっそ恨みがましい視線で訴える。
「じゃ・・・なんで?そんなにいや?」
「言わせたいのか」
むっとした青島が腕を捻り上げ室井の手を払う。
「好きとか、いっちども言ってもらってませんからね?!どこ信じろっての!浮気しちゃうから」
「なかったか」
「ないです」
「・・・・・・・・・・・?」
「?」
首を傾げた室井に合わせ青島も首を傾ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わすれてた」
「ちょっと!」
「・・・・」
「も、いい!俺ほかの人に――・・・、・・ァ・・ッ」

二次の行きつく先
・結局らぶらぶ。そして室井氏は覚悟を決めたら手が早いと思っている
「どこかに連れて行ってやるとか付き合ってるらしいことできてない」
「そんなこと気にしてんの?」
「するだろう、愛想尽かされたら困る」
青島のなだらかな曲線を持つ優美な腕が室井の首へと回った。
条件反射のように腰に手を回すと、青島はすっぽりと納まって肩に顎を乗せてくる。
「こーして一緒の時間、取ってくれるだけで、嬉しいけどな」
警戒心もない無防備な青島にまずいと思いながらも室井はくしゃくしゃと髪を弄んだ。
必死に口説き落とした相手が腕の中にいる幸福は少しの不安と苦みと、夢うつつを入り混じらせる。
「そんなの最初のうちだけだ」
「・・・・・だいすき」
うなじの下にちゅっと吸い付かれて室井は思わずその躰を離そうと腕を強張らせた。が、逆に青島が体重をかけて放してこない。
「こ、こら、青島。それ以上くっつかれると」
「だめ?」
「違う、・・・、いいのか?」
逆に問い返したらきょとんとされた。
暫しの沈黙の後、その意味に気付いた青島が僅かに引く素振りを見せる。
瞬間、逃げられる、と思った。
室井は後頭部に手を掛け押しつぶすように口唇を重ねる。
甘く吸い付いて、何度も擦り合わせて、求めていることを伝えた。
ゆっくりと口唇を解放すれば、潤みかけた瞳が探るように室井を映してくる。
「惚れた奴に抱き着かれて平気なふりが出来るほどいい加減な気持ちじゃない」
「・・・・・そか。・・・で、ですよね」
乾いた笑いで困ったように横を向いてしまった青島の形の良い耳に手を掛け、そっと力を入れて持ち上げた。
海のような瞳をまっすぐに捕らえる。
「ほしい」
他に言葉がないかのようにそれだけを口にする。
「君だけが、ほしい」
息を呑む青島がまるで溺れ息苦しいかのように微かに喘ぎ、くらくらとした眼差しをゆっくりと閉じた。
それを、勝手に了承の合図だと思った。

踊る二次を書く時に気を付け
ているのは
・室井→青島。基本。
「おまえまで裏切るのか」
「裏切られたのはこっちだ。そんなあんただとは思わなかった」
「理由なき断罪だってあるんだ」
「俺はあんたとならやっていけると本気で思ってたよ。それを――!」
「分かったような口を利くな、おまえだってこの立場なら同じことをする」
「俺なら手帳を懸けますね」
「背負うものがない人間はすぐ無責任なことをする」
「俺が言ってんのはあんたの立場のことですよっ!あんた誰にしっぽ振ってんの、俺を相棒と認めてないのはそっちじゃん」
「――」
「なのに、あんたはすぐそーやって裏切るだの味方だの」
「・・手厳しいな」
「俺は今まであんたから去っていった奴らと同じですか」
「同じなら、こんな馬鹿げた想いもせずに済んだ」
「あんま、生っちょろいこと言ってっと、本気で捨てちゃうよ?」

好きな食べ物
「それ、好きなのか?この間も食べていた」
「うん、今これに凝ってんの俺」
「凝るって意味が分からない」
「この間たまたま食べて、たまたま旨かったんです」
「好きだってことだろ?」
「そうなんだけど、ちがいます」
「食べたいと欲するのが旨いってことじゃないのか」
「気が済んだら去りそう」
「???」

嫌いな食べ物
「んで旨くないのに食わなきゃならないんだろう・・・」
「いつも腹空かしてる小童が」
「だって楽しくないじゃん」
「食事は体調管理の一環だ。好きも嫌いもつまらんもない」
「んなこと言ったら楽しみないじゃん。唯一の娯楽なのに」
「自分の身体を護るために必要なものを摂る。腹が減っては戦はできぬと言うだろう」
「けどさ・・」
「そんなこと言っていられるのも今のうちだぞ。身体がいずれ付いてこれなくなる」
「走ってるもん」
「そんなので筋肉が維持できるか。一旦崩れだした健康をその歳で取り戻すのに泣きを見るのは君だ」
「んだよこの中年オヤジ」
「・・・・余程勝負したいようだな」
「喰いまぁっすっ」

踊る二次を書く時に気を付け
ているのは2
・青島くんからは告らせない。青島くんの立場で告るってそれ踊る崩壊してると思っている。
もし告らせるとしたら。
これを呑んだら、次を呑んだら。
覚悟が決まらぬまま、酒瓶でテーブルが埋まっていた。
ラストオーダーだという店員の合図を自分の合図に、男だろ、と心の中で青島は喝を入れる。
ッシ、と拳でガッツポーズを作れば、異変に気付いた男が視線でなんだと尋ねた。
「あ・・、ん、俺ね、言いたいことがあんです。聞いてほしいです」
「なんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「早くしろ」
「んな、しかめっ面でガン飛ばされると云いづらいんだけど」
「・・・・・元からだ」
「・・・・そうね」
たったこれだけで間が持たなくなりまた青島はまた酒を口に運んだ。
折角のムードも勢いもぶち壊しされ、青島はただグラスを煽るしかなくなる。
もう一度、もう一度と、青島がグラスを煽っていく。
こういうとき、室井は優しい。多分、どこか重大さを感じ取って、結論を待ってくれている大人の包容だ。
室井が青島に手を伸ばした。
取り上げられたグラスに軽く指先が触れ合う。
「・・・明日に障る」
軽く動揺し、鼓動が高い青島とは逆に、室井の声は凪ぎのように静かだった。
小さく呟かれた室井の柔らかい物言いに、青島は泣きたいまま、室井を見つめた。
ふざけた季節も今は遠く、時が過ぎ往けばこのひとは出世し、同じ時の共有をいつまでも引き摺ることもなくなる。
接点が遠ざかるのであれば、今ここに、鮮やかに刻印したい衝動があっても、許されるだろうか。
直向きに思うだけの、一途な願いだ。
でもそれは、どんなお綺麗な理屈をつけた所で、身勝手な願望になってしまう。口に出したら。
「・・・ごめん」
「突然謝られても応えようがない」
「言うべきことじゃないって何度も諦めた。言ってどうしたい訳でもなかったんだけど」
「・・・・」
「知ってて欲しいことがある。迷惑かけたいわけじゃない」
「君のことを迷惑だなんて思ったことはない」
触れた手が、熱い。
「こういう職業だから・・・知られないまま、消えていくのはコワイです」
「・・・ああ」
目的語も入れていないのに、散文的な青島の甘えたな口調に、室井は多くを挟まずただ相槌を返した。
それがまた、青島を泣きたくさせた。
交錯する視線は哀調を孕み、限界値の緊張を伝え合い、反らせぬ縛りとなる。
ああ、成熟した大人のこのひとは、きっともう何もかも分かってしまうんだ。
「俺、貴方が好きです」
長い時を経て紡がれた言葉は、泣きそうに震えて響いた。
室井も視線を逸らすことはなく、真意を探るかのように漆黒の瞳で見つめたままだった。
揶揄いも、拒絶も、しなかった。
やがて、ゆっくりと確かめるように室井の手が伸び、躊躇った後、青島の髪をくしゃりと撫ぜる。
ぽんぽんと、まるで子供をあやす様に、触れるそれに、青島の顔がくしゃりとなる。
「本当にそれだけだ。でも、それだけが苦しいんだ」
壊れるかと思った。終わりになるかと思った。室井を幻滅させると思った。
でも、否定はされなかった。馬鹿にもされなかった。
「ごめっ、なさい・・・っ」
覚束なく頭を下げれば、室井にぎこちない仕草で引き寄せられ、その肩に囲われた。
俺はまだ子供だった。
小さな感情を持て余し、雲の上のこのひとに、ただ幸せあれと祈るだけの。
くしゃりと後ろ髪を鷲掴み、室井が青島の髪に頬を押し付ける。
愛撫の様なその仕草に、わんわんと泣き喚きたい気分だった。
店内にも関わらず、筋肉質の彫刻の様な手触りの背中に抱き込まれ、室井の頬が髪に押し付けられていた。
丁寧に鍛えられた筋肉質の男の腕だった。
ごめんなさい。ごめんなさい。ありがとう。
室井が進む全ての道が明るき光明が射し、夢が叶うように遠くで願っている。
この男が世界で一番幸せになればいい。
痛みも苦しみも、全部、このひとから貰ったものだ。
「本当に、それだけ・・、ですから。それだけが、苦しかった・・っ」
暫くそうしていたが、店内のざわめきが耳に戻り始めた頃、青島はゆっくりと瞼を持ち上げた。
室井の肩口に隠されて、隙なく結ばれた高級ネクタイのストライプが、シルバーの輝きをもって青島の瞳に反射していた。
滲んだ視界の室井の顔は真っすぐには見られない。
めちゃめちゃ、こっぱずかしい。
けど。
言えた。告げられたんだ俺・・・持て余したこの歪曲して出口をとうに見失った問い掛けを。
これで、終わりに出来る。
ようやく。
最初で最後の触れ合いに、青島は小さく息を吐いた。
その涙で濡れた口を、次の瞬間、室井が掠めるように躊躇いもなく塞いだ。

踊る二次を書く時に気を付け
ているのは3
・「俺だけは室井さんの味方」「俺は室井さんを護りたいです」そんな青島マジいらない。そういうの求めていないんで!
室井青島は衝突してナンボ。
「あんね、室井さん。隠しておきたいことがあんなら、もう少し上手く隠してください」
何があったか、根掘り葉掘り聞き出すことはしない。守秘義務とかの問題じゃない。聞いたところでどうせ抱えきれる保証もない。
室井の属する政治世界は通常の観念では禁忌的な桎梏がある。
男のくせに悟らせるなんてダサすぎだ。
「例えば」
「――そうだな、話題を変えるとか。・・・・傍に、近寄らない、とか」
ぱふんと座ったソファの、橋と端の距離は、縮まらない。
室井が一度伏せ眼を投げてから片腕で目元を覆い、気配で笑った。
まるで、そんなことをしたってどうせ悟られるのだろうと、そのことにうんざりしているかのような、嘲りだった。
神秘を損なわせるようなその仕草に、こちらの思慕すら貶められた気がして、青島の声も苛立ちを乗せる。
「不器用を言い訳にしてません?」
四面楚歌にさえ踠くこともしない男は、どうせこちらにだって大した期待もしていないような惨めな錯覚を与えていることにも気付いていないのだろう。
その責任は、本人ではなく、気付かせてやらなかった周りにあると青島は思う。
「無益な愚痴でも零せと言ってるのか」
「そうやって逃げんのかって言ってんですよ」
「逃がしても貰えない場所だ」
「要は逃げたいわけ?」
少しだけ、殺気立つ室井の明確な衝動は、だが一瞬にして悲哀へと鎮火した。
この朴念仁は、抱えるものが多すぎて、だけど割り切れず何も捨てられない甘さが、結果的に雁字搦めになって行き詰まらせてしまう。
誇り高い人だって分かっているけど、その崇高な精神は警察という社会の裏側を除く世界では、或いは政治と言う名の策謀世界では、過酷な飛礫を受け易い。
その計り知れない膨大な負荷は、青島にはどうすることも出来ない。
でも、同じく、どうすることも出来ないと嘆く室井とは、理由が違う。
「戦うことと堪えることを一緒くたにしてる時点で、もう器じゃないでしょ。身の程知らずってコトバ、知ってます?」
「出世を目的にすり替えないでくれ、・・・君まで」
室井が不快感を乗せ、眉を潜めた。
この人には泣くことも縋ることも出来ないんだろうが、救いすら拒絶する弱さが、青島を哀しくさせる。
冷たい逆風の中それでも背筋を折らない背中を、ただ美しいと思った遥か昔の自分が惨めになる。
思ったほど大したことないとか、今更思わせんな。
理解者は必要だけど、許容してやることで癒されるのだとしたら、話は別だ。
そんな男に、この先の過酷な社会は渡れない。
「上手く言葉で伝えられないから。上手く立ち回れないから。それを理由に発する努力を怠ったら、あんたは本当の無能者だ」
「充分ドロドロした感情を持て余している。それこそ君には言わないようなことまで」
「そ?いつか見返してやるって程度でしょ、そんなのいつかが来なけりゃ何も思わなかったのと一緒なんですよ」
「それでも越えられない一線ってものがあるんだ・・・!」
「それで自分が足止め喰らってりゃ世話ないですよ!」
「なら言ってもいいのか!君に!」
「望むところですよ・・・っ!」
あまりに無遠慮なままに衒いなく肯定したため、一瞬室井の口が止まる。
「あ~・・、えっと、そこそこってことで」
「君が裏切らないという保証はどこにある」
「裏切らない?ジョーダンでしょ。不甲斐なかったらとっとと見切りますよ、俺」
ピリピリとした張り詰めた空気が肌を刺している。そう、これだ。
「警察は治安を護るための組織ではあるが、戦いを決して推奨していない、いがみ合っても意味がない」
「俺からしてみたら、キャリアなんて内戦地でしかないですけどね。・・・・なら朴訥とした性格は才能ない証ってことでいいんじゃないですか」
「何なんだ君は!君くらい味方してくれたっていいだろう・・・!」
「味方が欲しいんだ?キャリアって群れ行動ですもんね」
「俺に不満があるならはっきり言ってくれた方がいい・・・!」
「最初っからそー言やぁいいのに」
「!」
この夜初めて真正面から交わされた瞳は、ようやく青島を映し、軽蔑でも幻滅でも、生々しい感情を乗せていた。
視線の交錯。俺たちにはそこに必ず意味が生まれる。
「誑かしたな」
「さてね」
室井が舌打ちをして落ちた前髪を荒々しく掻き上げた。
「なんだってこんな・・君に・・」
「相棒だからでしょ」
「失敗しても裏切っても・・・君だけは見限らない気がしてる・・・」
「そうですよ、思い出しました?」
「・・・ああ」
「俺は支えたいんじゃない、あんたの隣に立つ共犯者だ」
「・・そうだったな・・」
一文なしになっても、犯罪者になっても、出世レースから弾かれても。
青島は室井の最後の砦だ。
青島といることで、室井が癒しを得るのだとしたら、それはお門違いだ。
でも、青島がいることで室井が戦うことを止めないのなら。
「愚痴だの弱音だの零す様な軟弱者が好みだとは思わなかった」
そっと額が重なり合う。
触れ合う熱はそれ以上でも以下でもなく、それ以上の言葉はいらなかった。
むぅ、とむくれた顔を近付ける青島を室井の漆黒が覗き込む。
「キャリアに喧嘩吹っ掛けるのは君くらいだ」
「あんたがこんなとこで終わるのが悔しいんですよ・・っ」
「君が啖呵を切った。忘れるな」
「ん?」
「好きだ」
「はい?」
きょとんとした顔で見れば、室井の顔はマジだ。
そういやさっき「望むところだ」と煽ったっけ。
後日、「青島が泣くから仕方ない」とやけにすっきりした顔で踏ん張る室井の姿があった。

物書き100質問に載せているネタから浮かんだ補足SSとか過去SSSとか。